睡眠不足が認知症を招くって本当?認知症予防に効く5つの睡眠習慣
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「最近、よく眠れないな…」と感じることはありませんか?忙しい日々の中で睡眠時間が削られることはよくありますが、実はその「寝不足」が、将来的な認知症のリスクを高める要因のひとつだと指摘されているんです。
特に中高年以降の世代にとって、認知症は身近な不安のひとつだと思います。「睡眠不足が脳に与える影響」は見過ごせないテーマですよね。
この記事では、睡眠不足と認知症の関係と、認知症予防のためにできる具体的な対策を紹介します。
睡眠と認知症をつなぐ医学的知見
「睡眠と認知症の関係って、本当に科学的に証明されているの?」と感じる方もいるでしょう。ここでは、実際に行われた大規模な研究をもとに、その信頼性を確認していきましょう。
1-1. 大規模研究が示す睡眠時間と認知症の関係
一般的に、成人に必要な睡眠時間は「7〜8時間」と言われています。
日本で実施された「多目的コホート研究(JPHC Study)」は、60歳以上の日本人約1,500人を対象に約10年間追跡した大規模な調査です。この研究では、参加者の睡眠時間とその後の認知症の発症との関係が詳細に分析されました。
結果は明確でした。睡眠時間が6時間以下、もしくは9時間以上と極端な人たちは、7〜8時間の人たちに比べて認知症になるリスクが高かったのです。
つまり、「短すぎても長すぎてもダメ」という、まさに「ほどほどが大事」という結果でした。
1-2. グリンパティックシステムと理想の睡眠時間
また、近年の脳科学の研究では、睡眠中に脳内の老廃物が除去される「グリンパティックシステム」が注目されています。この機能が働くことで、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβが除去されやすくなるのです。
睡眠と認知症の関係性
次に、より詳しく睡眠と認知症の関係性について見ていきましょう。
2-1. 睡眠中の脳の働きと老廃物の除去
人が眠っている間、脳では記憶の整理や老廃物の除去といった重要な作業が行われています。特に、深いノンレム睡眠の間に脳内の“ゴミ”ともいえる老廃物(アミロイドβなど)が洗い流されることがわかってきました。
この老廃物が蓄積されると、アルツハイマー型認知症の原因になると言われているんです。
2-2. 慢性的な寝不足がもたらす影響
「寝不足」といっても、一晩寝ないだけなどはそこまで問題ではありません。問題なのは“慢性的な寝不足”の方です。
毎晩のように短時間しか眠れない日が続くと、脳のメンテナンスが不十分になり、結果的に記憶力や判断力の低下が起こる可能性があるのです。
2-3. 睡眠時間6時間未満との関連性
国内外の研究では、睡眠時間が6時間未満の人において、認知症の発症率が高くなる傾向が示されています。
先述した多目的コホート研究(JPHC Study)でも、60歳以上の人を対象に約10年間追跡したところ、睡眠時間が極端に短かったり長かったりする人に、要介護認知症のリスクが高まることが確認されました。
例えば、「5時間しか寝ていない高齢男性」が「7時間睡眠の同年代」に比べて、認知機能の低下が早く見られるケースもあるんです。
加齢によってもともと睡眠が浅くなりやすい中高年世代にとって、この問題はとても現実的ですよね。
睡眠不足が招くリスクとは
睡眠不足は脳だけでなく、体全体にさまざまな悪影響をもたらします。「ちょっと眠れないだけで、そんなに深刻なことになるの?」と思うかもしれませんが、慢性的な寝不足は以下のような4つリスクを高めることがわかっています。
3-1. 認知機能の低下
睡眠不足になると、記憶力や判断力、集中力が大きく落ちます。例えば、「昨日何を食べたか思い出せない」「うっかり約束を忘れてしまう」といったことが頻繁に起きるようになります。
これは脳が十分に休息をとれておらず、情報の整理や記憶の定着が妨げられているからです。
また、判断力が鈍ることで日常生活に支障をきたす可能性も出てきます。「運転中の注意力が落ちて事故を起こしかけた」といったケースは少なくありません。
3-2. 免疫力の低下と感染症リスク
睡眠中、体は免疫機能を高め、細菌やウイルスと戦う準備を整えています。ところが、睡眠不足が続くとこの働きが弱まり、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなります。
「なぜか最近、体調を崩しやすい…」と感じているなら、それは寝不足が原因かもしれません。
3-3. 代謝の低下と肥満・糖尿病の関係
十分な睡眠がとれないと、代謝が悪くなり、血糖値のコントロールがうまくいかなくなることがあります。これは肥満や糖尿病のリスクを高める大きな要因になります。
実際、「夜更かしが続いた時期に太りやすくなった」と感じる人は多いはずです。これはホルモンバランスの乱れや、夜間の食欲増加にも関係しているのです。
3-4. 生活習慣病の引き金になる可能性
睡眠不足は、高血圧や心疾患などの生活習慣病にも深く関わっています。例えば、「睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上寝ている人に比べて高血圧になるリスクが上昇する」といった報告もあります。
つまり、寝不足は“万病のもと”ともいえる存在。「たかが睡眠」と侮ることなく、健康全体を見直すきっかけにしたいですね。
このように、睡眠不足は単なる疲労だけでなく、認知症をはじめとするさまざまな病気と深く関係しています。
認知症予防のための睡眠のとり方
「どうすれば認知症を防ぐための睡眠がとれるの?」今日からできる具体的な対策をお伝えします。無理なく続けられることばかりなので、ぜひ試してみてください。
4-1. 適切な睡眠時間とは?
先述したとおり、成人に必要な睡眠時間は「7〜8時間」と言われています。ただし、これは人によって多少異なり、「朝すっきり目覚められるかどうか」が一つの目安になります。
「毎晩何時間寝れば安心なの?」という疑問には、「6時間未満の短時間睡眠は避けたほうがよい」と答えられます。
さらに、睡眠時間が5時間以下の人は、認知症や生活習慣病のリスクが上がるという報告が多くあるので、より注意しましょう。
4-2. 昼寝や入浴など、睡眠の質を高める工夫
「夜どうしても眠れない」という方には、15〜20分程度の昼寝や、寝る前のリラックスルーティーンもおすすめです。お気に入りの音楽を流す、軽くストレッチをするなど、心を落ち着ける時間をつくりましょう。
4-3. 医療機関への相談が必要なケースとは?
「いくら対策をしても眠れない」「夜中に何度も起きてしまう」という場合、睡眠障害の可能性もあります。「不眠症」や「睡眠時無呼吸症候群」などは、専門的な治療が必要になることもあります。
「こんなことで病院に行っていいの?」と思わず、心配な症状が続くようであれば、早めに内科や睡眠外来を受診してみてくださいね。
ここでご紹介した方法は、認知症予防だけでなく、毎日の生活を快適にする助けにもなります。普段から良い睡眠を取れるよう心がけたいですね。
良質な睡眠をとるための5つの習慣
最後に5つの生活習慣を見ていきましょう。これらの習慣を意識することで、自然と眠りの質が高まることが期待できます。
1つずつより詳しく、見ていきましょう。
5-1.毎日決まった時間に起床する
体内時計を整えることで、夜の自然な眠気が訪れやすくなります。毎日のリズムを一定に保つことで、寝つきが良くなり、中途覚醒も減ります。
特に、起床時間を固定することは体内のホルモン分泌にも影響を与え、夜間のメラトニンの分泌を安定させる効果があります。
5-2.朝起きたら日光を浴びる
日光は、体内時計をリセットする重要な役割を果たします。特に目から入る日光は、夜に眠気を誘うメラトニンの分泌を正常に促すきっかけになるのです。
加えて、日光を浴びることでセロトニンという覚醒作用のあるホルモンも分泌されるため、日中の活動にも良い影響があるんです。
5-3.適度な運動を取り入れる
日中に身体を動かすことで、夜の自然な疲労感が得られ、寝つきが良くなります。また、運動はストレスの軽減にもつながり、心地よい眠りを誘います。
特に有酸素運動はリズム運動とも呼ばれ、脳をリラックス状態に導くため、就寝前の不安感の緩和にも効果的です。
5-4.寝る前のスマホやアルコールを控える
スマートフォンのブルーライトは、メラトニンの分泌を抑え、眠気を妨げます。
また、アルコールは一時的に眠気を感じさせますが、夜中に目覚めやすくなるため、睡眠の質を下げてしまいます。さらに、脳が刺激を受けて覚醒状態になりやすくなるため、入眠に時間がかかることも考えられます。
5-5.寝る90分前の入浴で体温を整える
ぬるめのお湯にゆっくり浸かると、深部体温が一度上がり、その後自然に下がる過程で眠気が訪れやすくなります。この体温変化が、スムーズな入眠を助けてくれるのです。
入浴により副交感神経が優位になり、リラックス効果も得られるため、精神的な安定にもつながるんです。
まとめ
「睡眠不足が認知症のリスクを高める可能性がある」この事実は、近年の研究によって明らかにされつつあります。特に高齢者やその家族にとっては、睡眠の質を見直すことが将来の健康を守る重要な一歩になります。
例えば、毎日決まった時間に起きることや、朝に日光を浴びること、寝る前のスマホ使用を控えることなど、ちょっとした生活習慣の見直しだけでも睡眠の質は改善します。
もし「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」といった症状が続くようであれば、医療機関への相談も大切です。
「何から始めればいいの?」という方には、まずは“7時間以上眠る”ことを意識してみることをおすすめします。そこから徐々に生活リズムを整えていけば、自然と良い睡眠がとれるようになりますよ。
良質な睡眠は、健康な脳を保つための土台です。自分自身と家族の未来のために、今日からできることを始めてみましょう。
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