【高齢者の熱中症対策】
高齢者は熱中症発症率1位!原因・予防法・発症時の対応を解説

ケアリエコラム>高齢者の病気/生活

今年の夏、北海道でも記録的な暑さが観測されました。2025年7月23日には美幌町で38.2℃を記録し、道内11地点で観測史上1位を更新。翌24日には帯広市で38.8℃となり、これも観測史上1位タイという異常な猛暑でした。

「北海道でもこれだけ暑くなるのだから、全国どこでも熱中症の危険がある」と感じた方も多いのではないでしょうか。

特に高齢者は若い世代に比べて熱中症になるリスクが高く、命に関わるケースも少なくありません。

この記事では、なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか、その原因や予防のための生活習慣、そして万が一発症してしまったときの応急対応について解説します。

 

”ざっくり”この記事でわかること

高齢者は体温調節機能や水分保持力が低下し熱中症リスクが高い

・室内環境の調整・水分補給・栄養管理が予防のカギ

・発症時は涼しい場所・冷却・水分補給・救急要請が重要


 

高齢者はなぜ熱中症になりやすいのか

総務省消防庁のデータによると、熱中症による救急搬送者の半数以上が65歳以上の高齢者です。「うちの親は家にいるから大丈夫」「あまり外出しないから平気」と思っていても、実は熱中症の発生場所は住居が一番多く発症しているのです。

高齢者は体の機能や生活習慣の変化により、暑さへの対応力が低下しているためです。「同じ環境でも若いころは平気だったのに、年を取ると夏がつらくなった…」という声はよく聞きますよね。

主な理由は以下の5つです。

1. 体温調節機能の低下

汗をかいて体温を下げる機能や、血流をコントロールする機能が加齢で衰えます。そのため、体に熱がこもりやすくなります。

2.のどの渇きを感じにくい

加齢によって「口渇中枢」の働きが鈍くなり、実際には脱水状態でも「のどが渇いた」と感じにくくなります。

3.体内水分量の減少

筋肉量が減ると水分を保持する力も低下します。高齢者は若年者よりも水分量が少なく、脱水症状になりやすい傾向があります。

4.基礎疾患や服薬の影響

心疾患や糖尿病、腎機能低下などの持病、また利尿作用のある薬の服用により、水分バランスが崩れやすくなります。

5.栄養不足や筋力低下

食欲低下や偏食により、栄養が不足して体力が落ち、暑さに耐える力が弱くなります。

これらの要因が重なることで、高齢者は外気温だけでなく、体の中からも熱中症リスクが高まる条件が揃っているのです。特に複数の要因が同時に存在すると、発症までの時間が短くなります。

熱中症の症状と重症度

熱中症は症状によって軽症・中等症・重症に分けられます。重症化を防ぐためには、早期発見が重要です。

軽症

めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、こむら返りなど。早い段階で水分補給と休息を行えば回復しやすい段階です。

中等症

頭痛・吐き気・倦怠感・集中力の低下など。自力での移動や水分補給が難しくなることもあり、医療機関で受診をした方が良い段階です。

重症

意識障害、けいれん、高体温(40℃以上)など。救急搬送が必要で、命に関わる重篤な状態です。

「少しおかしいな」と感じた段階で適切に対応すれば、重症化を防げます。特に高齢者は症状を自覚しにくいため、周囲が日常的に観察し、異変にすぐ気づくことが大切です。

高齢者のための熱中症予防対策

高齢者が熱中症を防ぐためには、日常生活の中で意識的に予防行動を取り入れることが大切です。ここでは、室内環境の整え方や水分補給、栄養、体力づくりなど、具体的な方法を紹介します。

1. 室内環境を整える

エアコンや扇風機を活用し、室温は28℃以下、湿度は50〜60%程度を目安にしましょう。「エアコンは体に悪い」と使用を避ける高齢者の方も多いようです。

たしかに「冷えは万病の元」と言われるように、冷やしすぎは禁物ですが、命を守るための装置の一つとして検討するのも良いでしょう。温湿度計を設置して数値で確認する習慣を持つと安心ですね。

2. こまめな水分・塩分補給

のどが渇く前に水分を摂る習慣をつけましょう。大量の汗をかいたときは経口補水液や塩分を含む飲料を選びましょう。食事中や入浴後、就寝前なども水分補給のタイミングに最適です。

3. 熱中症対策グッズの活用

外出時や室内でも活用できるクールネックリングや冷感タオル、保冷剤入りベストといった冷感グッズの利用も効果的です。これらのグッズは首や脇など太い血管が通る部分を効率よく冷やし、深部体温の上昇を抑える手助けとなります。

外出時は日傘や携帯扇風機を持参すると安心です。手持ちのハンディファンや首から掛けることができる扇風機もありますので、ご自身にあったものを選ぶと良いですね。

4. 栄養管理

ビタミンB群、カリウム、マグネシウムなどは体温調節や筋肉機能を支えます。野菜・果物・魚・肉をバランスよく摂ることが大切です。暑くて冷やしそうめんなどさっぱりした食事に偏りがちですが、タンパク質をしっかり摂ることで体力維持を心がけましょう。

夏が旬の野菜や果物、南国で採れるものは体を冷やす作用があります。トマト・茄子・きゅうりなどの野菜や、すいか、メロン、バナナ、南国のマンゴー、パイナップルなども良いでしょう。

5. 暑さに負けない体づくり

軽い運動やストレッチで筋肉量を保つことは、水分保持力の維持にもつながります。また、十分な睡眠も体力回復に欠かせません。日中に無理なく体を動かすことで、夜の睡眠の質も向上します。

炎天下でのウォーキングは熱中症の危険が高まりますので、室内で軽い運動を心がけると良いですね。

発症時の応急対応

熱中症は適切な応急対応の有無によって、その後の経過が大きく変わります。

特に高齢者の場合、体温が急激に上昇しやすく、体へのダメージも深刻になりやすいため、「少し様子を見よう」では危険が伴います。発症が疑われたら迷わず迅速に行動することが大切です。

ここでは、現場でできる応急処置の流れを紹介します。

1.涼しい場所へ移動させ、直射日光や高温多湿の環境から避難させる

2.衣服を緩め、首・わきの下・足の付け根など太い血管が通る部分を氷や冷却シートで集中的に冷やす

3.意識があり、自力で飲める場合は水分・塩分を補給する(経口補水液が望ましい)

4.意識がない、呼びかけに反応しない、または自力で水分が取れない場合は、ためらわず119番通報し救急搬送を依頼する

応急対応を行う際は、できるだけ複数人で協力し、安全に配慮しながら行動しましょう。

場面別・季節別の注意点

熱中症のリスクは真夏の炎天下だけでなく、日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。特に高齢者は気温や湿度の変化を感じにくいため、場面ごとに意識して対策を取ることが必要です。ここでは、季節やシーン別に押さえておきたいポイントを紹介します。

外出時

帽子・日傘・携帯扇風機・飲み物などを持参し、長時間の外出は避けるようにしましょう。日陰を選んで移動し、こまめに休憩を取ることも大切です。夏祭りや花火大会などのイベントでは混雑と暑さが重なり危険度が増すため、滞在時間を短くする工夫をしましょう。

就寝時

室温が高い夜はタイマーではなくエアコンや扇風機を継続運転し、寝具やパジャマも通気性の良いものを選びましょう。サーキュレーターを併用して空気を循環させるのも効果的です。

真夏以外

梅雨明けや9月初旬も湿度・気温が高く油断は禁物です。特に秋口の残暑や春先の暑い日は、体が暑さに慣れていないため注意した時期です。季節の変わり目こそ、こまめな水分補給と服装調整を心がけましょう。

まとめ

高齢者の熱中症は「予防」が何より重要です。室内環境の調整、水分・栄養補給、体力維持を日常に取り入れることで、暑さに負けない体づくりをしましょう。

また、天気予報や熱中症警戒アラートなどの情報を日々チェックし、暑さが厳しい日は無理な外出を控えることも大切です。家族や近所の人、介護スタッフなど周囲がこまめに声をかけ合い、体調の変化に早く気づける環境をつくることが命を守る大きな力になります。

正しい知識と準備に加えて、家族や周りの人たちと支え合いながら、元気に夏を乗り切りましょう。

 


 

 

介護コネクトでは、介護施設の情報掲載や資料請求はもちろん、プロの相談員「あなたのケアリエ」が介護施設・高齢者施設のご相談・ご紹介を承っております。

 

ご相談からご紹介、ご入居まですべて無料です。あなたにぴったりな施設をご紹介いたします。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

-この記事の執筆者-

ケアリエコラムチーム

「介護コネクト」のコラムを執筆するチームです。介護や高齢者の健康・生活に役立つ情報をご紹介します。

 

この記事の関連記事

【シニアに便利!】 暮らしを支える実用アプリ3選とは?

スマホで暮らしを快適にする実用アプリをご紹介。服薬サポートや…

スマホで暮らしを快適にする実用アプリをご紹介。服薬サポートや…

【年金だけで足りる?】 老後資金の不足額と60代・70代の資産運用ポイント

  「年金だけでは生活できないのでは?」近年、こういった不…

  「年金だけでは生活できないのでは?」近年、こういった不…

【高齢者の体は酸性寄り?】 アルカリ性食品の健康効果と注意点3つ

高齢になると体の機能が徐々に低下し、ちょっとした食事バランス…

高齢になると体の機能が徐々に低下し、ちょっとした食事バランス…

【高齢者の熱中症対策】 高齢者は熱中症発症率1位!原因・予防法・発症時の対応を解説

今年の夏、北海道でも記録的な暑さが観測されました。2025年…

今年の夏、北海道でも記録的な暑さが観測されました。2025年…

【高齢者の口の健康】 口の健康を保って認知症や病気を予防しよう!

人生100年時代を迎え、健康寿命を延ばすことがますます重要に…

人生100年時代を迎え、健康寿命を延ばすことがますます重要に…

【老後の一人暮らし】 満足度や不安、一人暮らしを楽しむポイントを解説

近年、老後の一人暮らしの世帯数が増加傾向にあります。 これ…

近年、老後の一人暮らしの世帯数が増加傾向にあります。 これ…

【睡眠不足と認知症の関係】 認知症予防に効く5つの睡眠習慣

「最近、よく眠れないな…」と感じることはありませんか?忙しい…

「最近、よく眠れないな…」と感じることはありませんか?忙しい…

【指先の運動で認知症予防】 効果的な指体操と暮らしに取り入れたい習慣を紹介

「最近、名前が出てこない」「親が物忘れを気にしている」といっ…

「最近、名前が出てこない」「親が物忘れを気にしている」といっ…

北海道限定介護コネクトの電話番号 お問い合わせ