【介護施設での看取り】
病院とどう違う?後悔しない選び方と心構え
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「親が最期を迎えるとき、どこで、どのように看取ってあげるのが一番いいのだろう?」そんな悩みを抱える方は少なくありません。特に介護施設での看取りについては、よく知らないまま決断を迫られることも多いですよね。
「看取り介護ってどこまでしてくれるの?」「費用はどのくらいかかるの?」「施設に任せて本当に大丈夫なの?」といった疑問も多いと思います。
この記事では、「介護施設での看取り」について、基本的な知識から具体的な流れ、施設の種類や選び方、後悔しないための心構えまで、わかりやすく解説していきます。
介護施設での「看取り」とは
介護施設での看取りとは、入居者が人生の最終段階を迎えた際に、その人らしい穏やかな最期を支えるケアのことを指します。「生活の場」である施設での看取りは、日常の延長線上で行われるのが特徴です。
病院での看取りとの違い
「看取り介護って、病院とは違うの?」という疑問を持つ方も多いかもしれません。病院が延命治療や緊急対応に重きを置くのに対して、介護施設では本人の尊厳や希望を尊重し、無理な延命はせずに自然な最期を迎えられるよう支援します。
「ターミナルケア」「緩和ケア」とは
「ターミナルケア」や「緩和ケア」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これらは看取り介護と密接に関わっています。
ターミナルケアは終末期医療全般、緩和ケアは痛みや苦痛の緩和に重点を置いたケアです。看取り介護はそれらを包含し、本人と家族双方への支援を行う包括的なケアと言えるでしょう。
近年の看取りの傾向
ある有料老人ホームでは、最期の数日間は家族が宿泊できる部屋を用意し、思い出話をしながら過ごせるような工夫がされています。医療だけでなく精神面・生活面も重視するのが介護施設での看取りの大きな特徴です。
近年では、病院での看取りが減少し、介護施設や自宅での看取りを希望する人が増えてきています。理由としては、「住み慣れた場所で最期を迎えたい」「家族との時間を大切にしたい」という想いがあるためです。
看取り介護の具体的な流れ
看取り介護にはいくつかの段階があり、それぞれで必要なケアや家族の心構えが変わってきます。
介護施設における一般的な看取りの流れは、以下のとおりです。
1. 適応期
本人や家族が「終末期が近づいている」と自覚しはじめる時期です。この段階では、医師やケアマネジャーと今後の方針について話し合い、本人の意向を確認することが大切です。
2. 安定期
症状が比較的安定している期間で、日常生活を継続しながら生活の質(QOL)を保つための支援が行われます。施設職員と連携し、家族が訪問しやすい体制を整えておくとよいでしょう。
3. 不安定・低下期
体調が不安定になり、日常生活に支障が出てくる時期です。介護スタッフによる見守りや、痛みのコントロールが重要になります。「いつ容体が急変するか分からないのが不安」という方も多くなるでしょう。この段階からは特に職員と密に連絡を取ることが重要です。
4. 終末期
命の終わりが間近に迫る段階で、食事が取れなくなったり、意識が朦朧(もうろう)とすることが増えてきます。家族が最期の時間を過ごせるよう、施設側で特別な配慮がなされることも多くなります。例えば、個室での対応や、夜間の面会が可能になるなどの支援があります。
5. 看取り期
人生の終末を迎える最終段階です。この時期は、本人の苦痛を最小限に抑えるケアを優先しながら、家族との時間を大切にします。施設では、医師・看護師・介護職員が一体となって寄り添い、穏やかな旅立ちを支えるのが一般的です。
それぞれの段階を理解しておくことで、「今、自分たちはどの段階にいるのか」「何を準備すべきか」が見えてきます。迷いや不安を軽減するためにも、事前に流れを知っておくことがとても大切です。
看取りに対応している介護施設の種類
介護施設と一口にいっても、看取り介護に対応している施設にはいくつか種類があります。それぞれに特徴や医療体制、費用面の違いがあるため、ご家族の希望や状況に応じた選択が重要です。
特別養護老人ホーム(特養)
公的施設であり、費用が比較的安価であることが特徴です。終末期対応も進んでおり、看取り介護を実施している施設も多くあります。ただし、医療体制は限定的なため、点滴や酸素吸入など高度な処置には制限がある場合があります。
介護老人保健施設(老健)
リハビリを中心とした施設ですが、一定の医療支援もあり、看取りに対応している場合もあります。医師が常駐している施設もあるため、医療面での安心感がある反面、長期入所が難しいケースも多いです。
介護医療院
医療と介護の両方を提供する新しいタイプの施設です。医師・看護師の配置が厚く、看取りやターミナルケアにも対応可能。病状が不安定な方に向いています。
有料老人ホーム
サービス内容や医療連携体制は施設によって異なりますが、個別性の高いケアや終末期支援を提供している施設も増えています。料金はやや高めですが、家族の希望に寄り添った柔軟な対応が期待できる点が魅力です。
介護施設で提供されるケア内容
介護施設での看取りでは、本人ができるだけ苦しまず、穏やかな最期を迎えられるよう、さまざまなケアが提供されます。その中でも特に大切なのが、「身体的ケア」「精神的ケア」「家族へのグリーフケア」の3つです。
身体的ケア
看取り期になると、身体の衰えに伴ってさまざまな不快症状が出てきます。介護施設では、医師や看護師、介護職員が連携し、痛みや呼吸困難、倦怠感などを和らげるケアを行います。
「痛みを我慢させるのでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、多くの施設では医師の指示のもと、適切な鎮痛剤や酸素吸入などを用いて苦痛の軽減を行っています。
食事が取れなくなった場合には、水分補給や口腔ケアなどを通じて、できるだけ快適な状態を保つことが大切にされています。
精神的ケア
終末期には、本人の不安や孤独感が強まることがあります。そうした感情に寄り添うため、介護職員や看護師が積極的に話しかけたり、音楽療法やアロマなどのリラクゼーションを取り入れたりすることもあります。
例えば、お気に入りの音楽を流しながら過ごす時間を設けることで、入居者が安心して眠れるように工夫している施設もあります。「最期まで穏やかに過ごしてほしい」という願いに応えるケアですね。
家族へのグリーフケア
看取りは家族にとって大きな出来事です。介護施設では、ご家族が悔いなく寄り添えるよう、面会時間を柔軟にしたり、付き添い用のスペースを設けるなどの配慮がなされます。
また、亡くなられた後も、スタッフが心の整理を支える言葉をかけたり、四十九日や法要の際に連絡を取ったりと、継続的なサポートを提供する施設もあります。「旅立ったあとの心のケアまでしてもらえるんですね」と感謝されるご家族も多いです。
これらのケアを通じて、施設は単に「看取る場」ではなく、「命の終わりを共に過ごす場」としての役割を果たしているのです。
看取り介護加算とガイドライン
介護施設で看取り介護を行う際、重要な制度の一つが「看取り介護加算」です。また、厚生労働省が定めるガイドラインも、質の高い看取りを実現するうえで欠かせない指針となります。
看取り介護加算とは
看取り介護加算は、終末期の入居者に対して、一定の基準を満たす介護を行った場合に施設が算定できる加算です。これは、看取りに必要な人的・時間的コストを補うために設けられた仕組みで、手厚いケアの継続を支えるために役立っています。
制度上の加算があることで、施設が積極的に看取りに取り組むインセンティブとなるため、結果的にご利用者とご家族にとってもメリットがあるのです。
算定の条件
看取り介護加算を算定するには、いくつかの要件があります。
また、終末期に入ってからの経過日数に応じて、加算の点数が段階的に変動するしくみもあります。これにより、最期まで継続的かつ適切なケアを維持するための体制が支えられています。
看取りガイドラインの役割
厚生労働省は「看取りに関する指針(ガイドライン)」を公表しており、施設がどのように看取りを行うべきかを明示しています。
ガイドラインには、以下の内容が盛り込まれており、これに沿った対応を行うことで、より質の高い看取りが可能となります。
病院・自宅・介護施設の看取りの違い
「最期を迎える場所はどこがいいのか?」という問いは、誰もが直面する大きな悩みですよね。ここでは、病院・自宅・介護施設の3つの選択肢について、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説していきます。
病院
病院は医療体制が最も整っており、緊急時の対応や処置が迅速に行えるのが最大の強みです。重篤な症状がある場合や、医療的ケアが多く必要な方には安心感があります。
一方で、「慌ただしい環境で落ち着けなかった」「面会が制限されていて最期に会えなかった」という声も少なくありません。医療優先のため、本人の希望や家族との時間が十分に確保できないこともあるのが現状です。
自宅
住み慣れた家で家族に囲まれて過ごすことができるという点は、自宅での看取りの大きな魅力です。本人が安心感を持ちやすく、家族も自由に付き添える環境があります。
ですが、24時間体制の介護や医療サポートが必要となるため、「家族にとってはかなりの負担になった」というケースもあります。在宅医療や訪問看護の活用が必要不可欠になる可能性もあります。
介護施設
介護施設は、家庭的な雰囲気を保ちながらも、介護と一部の医療支援を受けられるバランスの良さが特徴です。施設によっては、看取り介護に特化した職員体制や家族の宿泊支援なども整えられています。
「病院ほどではないけれど、家族の負担が少なく、本人も落ち着いて過ごせた」という声が多く聞かれます。近年では、病院ではなく介護施設での看取りを希望する人が増えてきているのも納得ですね。
場所別のメリット・デメリット
メリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
それぞれの特徴を理解したうえで、「どこがその人にとって最も自然な最期なのか」を考えることが大切です。ご家族だけで悩まず、ケアマネジャーや専門職と相談しながら、最良の選択をしていきたいですね。
後悔しないための施設選びと家族の心構え
看取りを前提とした施設選びでは、一般的な介護施設選びとはまた違った視点が求められます。ここでは、施設選びのポイントと家族としての心構えについてお話しします。
施設選びのポイント
施設選びのポイントは以下のとおりです。
例えば、施設見学の際には「どれくらいの頻度で看取りが行われているか」「ご家族との話し合いはどのように行われているか」など、遠慮せず具体的に質問することが大切です。
また、施設ごとのパンフレットやホームページだけでは分からない実際の雰囲気を、見学や説明会などを通じて肌で感じ取ることが後悔しない選択に繋がるでしょう。
家族の心構え
看取りはご本人だけでなく、家族にとっても人生での重要な出来事です。だからこそ心の準備も必要になります。
後悔しないためには、以下の点に配慮すると良いでしょう。
看取りの現場では、「もっとこうしてあげればよかった」と思うこともあるかもしれません。
ですが、最期に大切なのは「家族がそばにいた」ということが、ご本人にとって最大の安心なのではないでしょうか。
まとめ
介護施設での看取りは、単なる「終末期の対応」ではなく、ご本人とご家族にとって心のつながりを感じられる大切な時間を支えるものです。
不安があるときは、ケアマネジャーや施設職員、専門の相談員に遠慮なく相談してみてください。
最期の時間は、悲しみとともに「ありがとう」と伝えられる温かな時間でもあります。だからこそ、施設選びや準備を少しでも前向きに進めていけたら良いですね。
介護コネクトでは、介護施設の情報掲載や資料請求はもちろん、プロの相談員「あなたのケアリエ」が介護施設・高齢者施設のご相談・ご紹介を承っております。
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