【ケアプランとは?】
3つの種類と作成方法、注意点を解説

ケアリエコラム>介護制度関連

介護保険制度を利用するためには、ケアプラン(介護(予防)サービス計画書)を作成することが必須条件となっています。

 

この記事では、ケアプランの概要や作成する専門職を紹介するとともに、ケアプラン作成までの流れについて解説します。

 

-目次-

1.ケアプランとは?

2.ケアマネジャーとは?

3.ケアプランの内容

4.ケアプランは3種類

5.ケアプラン作成・サービス利用までの流れ

6.利用できる介護サービスの例

7.ケアマネジャー?セルフケアプラン?それぞれのメリット・デメリットは?

 7-1.ケアマネジャー作成の流れ

 7-2.ケアマネジャーが作成するメリット・デメリット

 7-3.セルフケアプラン作成の流れ

 7-4.セルフケアプランのメリット・デメリット

8.ケアプランを作成する際の注意点

 8-1.ケアマネジャーの選び方

 8-2.ケアマネジャーに伝えるポイント

 8-3.ケアプランの見直しも重要

9.まとめ

 -参考文献

ケアプランとは?

ケアプランとは、要介護認定を受けた高齢者が介護サービスを利用する際に必要な計画書です。

 

どのような介護サービスをいつ、どれだけ、どのように利用するかを具体的にまとめたものです。

 

効率良く、効果的なサービスを利用する狙いがあることから、介護サービスを利用するには、ケアプラン作成は必須事項となっています。

 

作成に係る費用は全て介護保険で賄われ、利用者負担はありません。

ケアマネジャーとは?

ケアプランを作成する専門職は、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。

 

ケアマネジャーは、介護サービス利用者(以下、利用者)とその家族の相談に応じてケアプランを作成し、サービス提供事業者との連絡調整(ケアマネジメント)を行う専門職です。

都道府県の認定する公的資格の一つです。

 

主に、居宅介護支援事業所や特別養護老人ホームなどの福祉施設、地域包括支援センターなどに勤務しています。

 

利用者やその家族の相談に応じるとともに、ケアプラン作成のための情報収集や連絡調整、提供される介護サービスの品質チェックを行っています。

ケアプランの内容

ケアマネジャーは、利用者の要介護状態をふまえたうえで、家族の意向を聴きながら、利用者の希望にそえるような介護サービスを利用できるようにケアプランを作成します。

 

ケアプランでは、主に以下の内容を記載します。

 

・利用者の短期・長期的な目標、支援内容の方針

・介護サービスの内容、頻度・量

・支援のスケジュール(日・週間・月間)

・利用者からの相談内容、事業者との連絡内容

・利用者負担額 など

 

ケアプランの作成は、原則としてケアマネジャーが行いますが、利用者や家族が自分で作成することも可能です。

 

しかし、介護サービス提供事業所との連絡・調整に大きな手間がかかってしまうことから、ケアマネジャーに依頼するのが一般的です。

ケアプランは3種類

ケアプランには大きく3つの種類があります。

 

これは、利用者がどこに住んでいて、どのような介護サービスを利用するのかによって、次のいずれかが当てはまるような仕組みです。

 

 

居宅サービス計画書

施設サービス計画書

介護予防サービス・支援計画書

対象者

要介護1~5

要介護1~5

要支援1・2

居住場所

主に自宅

・特別養護老人ホーム(特養)

・介護老人保健施設(老健)

・介護医療院

主に自宅

担当するケアマネジャー

居宅介護支援事業所

施設

地域包括支援センター

サービス例(後述)

・訪問介護(ホームヘルプ)

・通所介護

(デイサービス)

・訪問リハビリなど

施設における介護サービスなど

・介護予防通所介護

・介護予防訪問入浴介護 など

 

ケアプラン作成・サービス利用までの流れ

ここからは、実際にどのような流れでケアプランが作成され、サービス利用までにどのようなプロセスがあるかを説明します。

 

居住

自宅

施設

1

要介護認定を申請し、要支援1・2、要介護1~5のいずれかに認定される

要介護認定を申請し、原則として要介護1~5のいずれかに認定される

2

利用者が居宅介護支援事業所を選び、ケアマネジャーと契約する

入所を希望する介護施設の見学を行い、入所の申し込みを行い、契約する

3

ケアマネジャーが利用者の状態やニーズ、支給限度額に合わせて、ケアプラン(居宅サービス計画書)を作成する

施設のケアマネジャーが、利用者の状態やニーズに沿って、ケアプラン(施設サービス計画書)を作成する

4

利用者はケアプランに則って、介護サービスを利用する

利用者はケアプランに則って、施設で介護サービスを受ける

5

利用者の自己負担額は、原則として1割(所得に応じて2~3割)

同左

なお、提供される介護サービスの品質に問題があった場合や、別の介護サービスに切り替えたいなどの希望があれば、担当のケアマネジャーに相談することができます。

利用できる介護サービスの例

利用者はケアプランに基づいて次のサービスを利用することができます。

 

種類

主なサービスの例

概要

居宅サービス

・訪問介護(ホームヘルプ)

・通所介護(デイサービス)

・短期入所(ショートステイ)

・福祉用具の貸与・販売

・住宅改修

自宅で生活する人を対象とした介護サービス。ホームヘルパーが利用者宅を訪問して介護を提供したり、利用者が施設などに通って介護を受けたりする

施設サービス

・特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設

主に要介護1以上と認定された高齢者が施設に入所して受ける介護サービス。ただし、施設によっては入所の要件などがある

地域密着型サービス

・グループホーム

・小規模多機能型居宅介護 など

要介護状態であると認定された高齢者が、住み慣れた地域・自宅での生活を継続するのが狙い。

 

このように、介護サービスは様々な種類がありますが、ケアマネジャーが利用者や家族のニーズや、経済的負担を考えて最適なプランを作成してくれます。

 

ケアマネジャーが作成?自分でケアプランを作成する場合の方法は?

ケアマネジャーが作成することが一般的なケアプランですが、前述したとおり利用者自身で作成すること(セルフケアプラン)も可能です。

 

ケアマネジャーが作成する場合と、自分で作成する場合の流れやメリット・デメリットを解説します。

ケアマネジャー作成の流れ

ケアマネジャーが作成する流れは以下の6ステップです。

 

1

ケアマネジャーが利用者や家族と面談し、意向や身体機能・認知機能などの情報収集を行う(アセスメント)

2

アセスメントの内容からケアプランの案を作成

3

サービス担当者会議を行う(利用者・家族・ケアマネジャーや介護職員、栄養士、看護師などが参加)


4

会議ででた意見をケアプラン案に反映させる。修正があればケアプラン案を修正・再提案する。問題がなければ文書で利用者・家族から同意を得て、ケアプランを完成させる

5

サービス提供の開始


6

ケアプランで決めたサービスが提供されているか、利用者に見合った内容になっているかモニタリングを行う。モニタリングの結果、ケアプランの見直しが必要な場合は、再びアセスメントをおこない、ケアプランを修正・再交付する

 

ケアマネジャーが作成するメリット・デメリット

 ケアマネジャーが作成するメリットとデメリットは以下が考えられます。

 

メリット

・介護保険制度に関する専門的な知識と経験を持っているため、利用者の状況や希望に沿った適切なケアプランを作成できる


・介護サービス事業者との調整を行ってくれるので、利用者がスムーズに介護サービスを利用できる

デメリット

・希望通りの計画内容にならない可能性がある


・ケアマネジャーとの相性が合わない可能性がある

 

セルフケアプラン作成の流れ

 自分で作成する流れは以下の8ステップです。

 

1

市区町村の介護保険課に居宅介護サービス計画の自己作成をする旨を申告し、提出書類をもらう

2

介護保険のパンフレットやインターネットなどで、ケアプランに関する情報を収集する

3

利用者の状況や希望を整理し、ケアプランの案を作成する

4

サービスを利用する事業所を選ぶ

5

書類を完成させ、市区町村に提出し、保険者の確認印をもらう(市区町村はコピーを補完、原本は利用者が保管)

6

サービス提供の開始

※利用中はサービス事業所と直接連絡を取る


7

サービス事業所からの実績報告と自身の記録に相違がないか確認をして市区町村に実績を報告する

8

市区町村は、ケアプランと提出されたサービスの利用実績を基に「給付管理票※2」を作成し、国民健康保険連合会(国保連)に提出する

 

セルフケアプランのメリット・デメリット

 自分で作成するメリットとデメリットは以下が考えられます。デメリットの方が多く考えられます。

 

メリット

・利用者の希望や考えを最大限に反映したケアプランを作成できる


・サービス事業所と知識の格差が少なくなり、対等な立場で話をすることができるようになる

デメリット

・介護保険制度に関する専門的な知識や経験がないと、適切なケアプランを作成できない可能性がある


・情報収集やケアプランの作成に時間と手間がかかる


・市区町村がケアマネジャーに代わって給付管理を行うため、難色をしめされる可能性がある


・自己負担額の計算などが難しく、煩雑な手続きをすべて自身で行わなければならない

 

このように、どのようなサービスが自身に合っているのか、また利用する量はどれくらいが適切なのか分からない場合が多く、デメリットも多いことから、ケアプランの作成はケアマネジャーに依頼することが一般的です。

ケアプランを作成する際の注意点

ケアプランを作成する場合は以下の点に注意しましょう。

 

・ケアマネジャーの選び方

 

・ケアマネジャーに伝える際には、利用者の状況や希望を具体的に伝える

 

・利用者の状況や希望の変化に合わせて定期的にケアプランを見直す

ケアマネジャーの選び方

ケアマネジャーを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

 

・介護保険制度に関する専門的な知識と経験を持っているか

 

・利用者の状況や希望を丁寧にヒアリングしてくれるか

 

・利用者や家族の立場に立って、適切な支援を行ってくれるか

 

介護保険のパンフレットやインターネットなどで、ケアマネジャーの紹介や評判を調べたり、複数のケアマネジャーと面談したりして、自分に合ったケアマネジャーを選ぶようにしましょう。

ケアマネジャーに伝えるポイント

ケアマネジャーに伝えるポイントは以下のとおりです。

 

・利用者の抱える課題や、生活のしにくさなどの状況

 

・介護サービスの利用歴

 

・実現したいことや、介護サービスを利用する目的

 

ケアプランは、利用者の状況や希望をふまえて作成されるものです。

利用者の状況や希望を具体的に伝えることで、より適切なケアプランを作成することができます。

ケアプランの見直しも重要

ケアプランは、利用者の状況や希望の変化に合わせて、定期的に見直すことが重要です。

 

ケアプランの見直しを定期的に行うことで、利用者の状況や希望に沿った介護サービスを継続的に利用することができます。

まとめ

ケアプランは介護サービスを利用するための計画表ではありますが、利用者が望む暮らしを実現するために、どんなことに課題があるのかを整理し、QOL(生活の質)の維持や向上、生きがいや意欲を高めることを目的としています。

 

「ケアプランが完成したら終わり」ではなく、サービスを利用していて問題や疑問に思った事があれば、事業所に相談して、利用者がより良い生活を過ごせるように支援していきましょう。


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