【成年後見制度とは】
任意後見制度と法定後見制度の違い、よくある質問5つを解説
ケアリエコラム>介護制度関連
成年後見制度は、認知症や障害などによって判断能力が十分でない方の権利・財産を守る仕組みの一つです。
契約が結べない、自身に不利益な契約を結んでしまったなどの不測の事態に備え、家庭裁判所(以下、家裁)が選んだ成年後見人、保佐人、補助人(以下、後見人等)が、本人に代わって福祉サービスの利用契約などを行ったり、不動産や預貯金などの財産を管理したりする制度です。[1]
この記事では成年後見制度の内容を解説するとともに、利用上の注意点などを説明します。
成年後見制度の概要[2]
成年後見制度には、認知症などで判断能力が十分でなくなる恐れがある方を対象とした「任意後見制度」と、既に判断能力が不十分な方を対象とする「法定後見制度」の2種類があります。
いずれの制度も対象となる方たちの権利を守ることを目的としており、今後も重要な役割を果たすことが期待されています。
成年後見制度の種類[2]
成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度の2つがあります。
任意後見制度
任意後見制度とは、対象者が自身で決められるうちに判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ人に、自分の生活や財産管理などの代理権を与えることを契約で決めておく制度です。
あらかじめ選んだ人を任意後見人と呼び、取り交わす任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結びます。
本人が一人で決めることに心配が出てきた場合に、家裁で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。
法定後見制度
法定後見制度とは、既に判断能力が不十分な方の障害や認知症の程度に応じて、家裁が後見人等を選定します。家裁の決定に不服申し立てをすることはできません。
後見人等は、本人の利益を考えながら、本人に代わって契約するなどの法律行為をしたり、不利益な法律行為を後から取り消したりすることで、対象者の権利を守る制度です。
後見人等は、次の3種類があります。
任意後見制度と法定後見制度の違いを表にまとめると次のようになります。
利用対象者[2]
成年後見制度の対象は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない方です。
本人の判断能力は、家裁が医師の診断書(ケースによっては鑑定や本人との面接の結果など)を基に総合的に検討し、後見、補佐、補助のいずれかに当てはまるか決定します。
後見人等の選任・役割[2]
弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士などの専門職や親族のほか、社協等の法人が選ばれることが一般的です。
また、後見人等が上記の中から、複数選ばれることもあります。
後見人等は本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら、与えられた権限に応じて代理権、同意権・取消権などを用いて支援を行います。
具体的なシーンは次のとおりです。
手続きの流れ[1]
ここからは、成年後見制度を利用する流れを説明します。
よくある質問[1]
よくある質問を5つご紹介します。
利用にお金はかかりますか?
任意後見制度、法定後見制度のいずれも利用するために家裁に申し立てする場合、費用がかかります。
いずれもおおよその金額であるため、詳細を知りたい方は、最寄りの公証役場か、権利擁護支援相談窓口へお問い合わせください。
任意後見制度の費用
引用:任意後見制度とは(手続の流れ、費用)|成年後見はやわかり|厚生労働省
法定後見制度の費用
引用:法定後見制度とは(手続の流れ、費用) | 成年後見はやわかり|厚生労働省
市町村が法定後見制度を利用する際に必要な経費を助成している場合があります。詳しくは各市町村の窓口へお問い合わせください。
自分のお金は自由に使えなくなる?
自分のお金は自由に使うことができます。例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで日用品を自由に買うことができます。
ただし、お金が無くなって困ってしまうことが無いように、後見人等がお金の出し入れを支援します。特に高い買い物をするときには、後見人等と相談して決めると良いでしょう。
後見人等に依頼できないことは?
被後見人は、後見人等に対して以下の内容を依頼することができません。
後見人等とうまくいかない場合はどうしたらいい?
後見人等は本人のことを第一に考え、意思を尊重することが求められますが、物事を決めるうえで意見が対立することや、うまくいかないなどの不具合が生じた場合は、下記の機関へ相談することができます。
後見人等が不正な行為をした、著しくふさわしくない行為がある場合は、家裁に解任請求をすることができます。
ですが、単に気に入らないなどの理由では解任することができません。
成年後見制度を途中でやめたい
原則、成年後見制度を途中でやめることはできません。なぜなら、本人のしたい生活を守ってくれる人がいなくなり、行使できる権利の空白が生まれてしまうからです。
ただし、医師の診断書などによって認知症や障害の改善が認められ、家裁が取り消しを認めた場合には同制度をやめることができます。
まとめ
成年後見制度は、認知症などによって判断能力が不十分な方の権利を守ってくれる心強い制度です。
自身の状況などに不安がある方は、別記事で説明した日常生活自立支援事業と合わせて利用を検討してみてください。
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