【認知症予防に効果的な食事】ポイント5つとMIND食について解説
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認知症予防には、毎日の食事が重要な役割を果たします。
この記事では、認知症予防に効果的な食事のポイント5つと食事法、「脳の老化を遅らせる効果がある食事法」MIND食について解説します。
認知症予防になる食事のポイント5つ
「認知症予防になる食べ物」と「認知症リスクを高める食べ物」はこちらの記事でご紹介しました。
では、食事をするときのポイントはどのようなものがあるのでしょうか。ポイント5つをご紹介いたします。
1.バランスの良い食事(さあにぎやかにいただく)
認知症予防になる食べ物ばかりではなく、多様な食材を組み合わせ、バランス良く摂取することが重要です。
炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂取しましょう。
主食として、白米・玄米・パン・麺類などの炭水化物を適度に摂取します。
この時、食物繊維が豊富な全粒穀物を選ぶとより効果的です。
白米を玄米にする、パンは全粒粉パンを選ぶなどです。
たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルは、1日の食事で次の「10種類の食品」を「7種類以上」摂りましょう。
<さあにぎやか(に)いただく>
出典:食生活でロコモ対策 | 日本整形外科学会公式より作図
どのくらいの食品を摂取できているか、チェックシートでチェックすると意識して摂取することができそうですね。札幌市がチェックシートを公表していたので、気になる方は活用してみてください。
高齢になると食欲が低下したり、ものをうまく食べられなくなることが原因で低栄養になることが考えられます。低栄養は筋力の低下を招き、サルコペニアのリスクが高まります。
バランスの良い食事を摂り、認知症予防だけではなく、さまざまな疾患を予防しましょう。
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2. 適切な塩分・糖分摂取
塩分を多く摂取すると高血圧となり脳梗塞のリスクを高め、脳血管性認知症を引き起こす可能性があります。[1]
「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」[2]では、1日の食塩摂取の目標量は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満と設定されています。
ですが、実際の摂取量は、男性で10.9g、女性で9.3gです。
年齢別にみると、男女ともに60歳代が最も食塩摂取が多い結果となっています。[3]
塩分摂取は、調味料からが7割弱、食品からが3割強です。
塩分を多く含む食品は、味噌・しょう油などの調味料、明太子・塩辛、漬物や梅干し、ハム・ソーセージなどがあります。
これらはしょっぱいので、塩分が多く含まれているのは想像がつきますが、意外に塩分が多く含まれているのは、食パンなどのパン類です。しょっぱい訳ではないので驚きですよね。
どの食品にどのくらい塩分が含まれているかは、文部科学省が提供している検索サイトで確認することができます。塩分以外にも、カロリーやたんぱく質・脂質なども確認することができます。ぜひ、参考にしてください。
▶参考:食品成分データベース|文部科学省
塩分を多く摂取すると、脳血管性認知症だけではなく、脳卒中や心臓病などの原因にもなります。調味料や塩分を多く含む食品の摂取を減らして、薄味を心がけましょう。
また、糖分の過剰摂取は、糖尿病や肥満などの生活習慣病のリスクを高め、認知症の発症リスクにもつながります。
甘いお菓子やジュースを控え、果物や無糖ヨーグルトなどを代わりに摂取しましょう。
3. 適切なカロリー摂取
肥満は、アルツハイマー型認知症の原因の一つとされており、患者の6割は内臓脂肪が増えていたと報告されています。[4]
1日に必要なカロリーは、年齢に起因する「基礎代謝量」と1日の動いている量から導く「身体活動レベル」で確認することができます。
日本医師会のこちらのサイトを参考にして、1日のカロリー量を計算してみてください。
▶参考:1日に必要なカロリー推定エネルギー必要量|日本医師会
肥満は認知症だけではなく、高血圧や糖尿病、ひざ・関節などの障害の原因となります。
自分の年齢や体格、活動量に合った適切なカロリーを知り、肥満を予防しましょう。
4. 自炊する
外食を控え、自炊を心がけましょう。自炊は食材選びから調理方法まで全てを管理することができるため、塩分や糖分を控えた食事をすることができます。
また、献立を考えたり食材を切ったりすることは、頭と手を動かすことにつながり、脳が活性化され認知症予防につながります。
近年問題視されているのが、一人で食事をする「孤食」です。
誰かと食べる、誰かのために作ることも脳が活性化され、認知症予防になると考えられます。
また、食器の色や形にも一工夫してみましょう。お気に入りの食器やこだわりの食器でお料理がパッと華やかになり、食事の時間が楽しみになりそうですね。
食欲がわかない方や食が細くなった方は、赤色の食器を使用すると良いでしょう。赤色は料理を美味しく見せてくれたり、アドレナリンを分泌させて興奮を促し、食欲を増進させる効果があるといわれています。飲食店の看板で赤色が多いのは、この理由からなんです。
5. よく噛む
「一口30回以上」を目安によく噛んで食べましょう。
よく噛むことで脳の血流が促進し、脳が活性化されることで認知症予防につながります。
また、満腹感が得られやすいため、食べ過ぎを防ぐことができたり、交感神経が刺激されて代謝が活発になり、消費カロリーが増加し、肥満予防にもなります。
他にも、ゆっくりよく味わうことで薄味でも満足できるようになったり、唾液の分泌が促進されることで口の中がきれいになるなど、良いことがたくさんあります。
根菜などの固い食材は自然とよく噛むことになるため、積極的に摂取すると良いでしょう。[5]
認知症予防の食事、MIND食とは?[6]
MIND(マインド)食は、「The Mediterranean -DASH Diet Intervention for Neurodegenerative Delay」の頭文字を並べたもので、地中海式食事法とDASH(ダッシュ)食の要素を取り入れた食事法です。
地中海式食事法は生活習慣病予防に効果的で、DASH食は高血圧改善のために効果的といわれています。
MIND食は、2015年にアメリカのラッシュ大学医療センターの研究により発表されました。
58~93歳の900人以上を対象にした研究で、よりMIND食に近い食生活の人ほど、認知機能の低下が遅れ、アルツハイマー病の発症が少ない結果となりました。
それぞれの食事法について、詳しくみていきましょう。
1. 地中海食[7]
地中海食は、ギリシャ・イタリア・スペインなどの地中海沿岸地域で伝統的に食べられている食事法です。2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
地中海食の特徴と効果は以下のとおりです。
地中海食で多く使用されるオリーブオイルは、LDL(悪玉)コレステロールを減らすオレイン酸が豊富です。認知機能が低下しにくいDHA・EPAを多く含む魚を多く摂取し、抗酸化作用がある野菜や果物と適量のワインを摂取することが健康に良いと考えられています。
2. DASH食
DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は、1990年代にアメリカで提唱された、高血圧の予防と改善に効果的な食事法です。
DASH食の特徴と効果は以下のとおりです。
野菜や果物などから、塩分を排出するミネラル(カリウム・カルシウム・マグネシウム)を摂取し、血圧を上げる原因となる赤肉などの飽和脂肪酸とコレステロールを減らすことが、高血圧の予防と改善に効果があると考えられています。
3.MIND食で摂取したい10食品と控えるべき5食品[8]
MIND食を積極的に取り入れたいことはわかりましたが、具体的に何を食べたら良いでしょうか。積極的に摂取したい10食品と控えたい5食品をそれぞれみていきましょう。
<摂取したい10食品>
<控えるべき5食品>
上記をピラミッド型にすると下記のような図になります。
下の食品から意識的に摂取して、上の食品は控えるようにしましょう。
まとめ
認知症予防に効果的な食事のポイント5つとMIND食について紹介しました。
認知症予防に限らず、健康な生活を送るにはバランスの良い食事を心がけることが重要です。MIND食を参考に、魚、野菜、大豆製品、ナッツ類、果物などを積極的に摂取しましょう。
また、塩分や糖分の過剰摂取を控え、適切なカロリー摂取を心がけることも大切です。
毎日の食事を意識して、認知症予防に取り組みましょう。
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