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【高齢者の口の健康】
口の健康を保って認知症を予防しよう!

ケアリエコラム>高齢者の病気/生活

人生100年時代を迎え、健康寿命を延ばすことがますます重要になっています。その鍵の一つが、高齢者の「口の健康」です。口は食事や会話など、生活の基本的な機能を担うだけでなく、全身の健康にも大きな影響を与えます。

 

本記事では、高齢者の口の特徴やトラブル、健康寿命を延ばすための方法について解説します。

 

”ざっくり”この記事でわかること

・口の健康を保つことは、全身の健康につながる

・歯周病になると認知症リスクが高まる

・歯がないと誤嚥や転倒のリスクが高まる

 

-目次-

1.口の健康=全身の健康

 1-1.「8020運動」を知っていますか?

 1-2.介護リスクが高まる「オーラルフレイル」

2.高齢者の口の特徴

 2-1.唾液分泌量の減少

 2-2.味覚や嗅覚の変化

 2-3.歯や歯茎のトラブル

 2-4.口腔機能の低下

3.高齢者の口のトラブル

 3-1.歯周病

 3-2.むし歯

 3-3.ドライマウス

 3-4.口臭

4.高齢者の口のトラブルが原因の病気

 4-1.認知症

 4-2.誤嚥性肺炎

 4-3.脳梗塞・心筋梗塞

 4-4.糖尿病

5.歯がないことによるデメリット

 5-1.誤嚥リスクの増加

 5-2.転倒リスクの増加

 5-3.社会的孤立

6.北海道の高齢者は歯が少ない!?

7.高齢者の口のトラブルを防ぐ方法

 7-1.口腔ケア

  1)歯磨き

  2)歯間ブラシ

  3)入れ歯

  4)舌苔(ぜったい)

 7-2.食事はよく噛む

 7-3.定期的な歯科検診

 7-4.口腔機能訓練

8.まとめ

 -参考文献

 

口の健康=全身の健康

口は、食べ物を消化吸収したり、言葉を話したりするなど、さまざまな役割を担っています。また、近年では、口の健康と全身の健康との密接な関係が明らかになっています。

「8020運動」を知っていますか?

「8020運動」は、「80歳までに20本以上の歯を残そう」という国民運動で、1989年に厚生労働省が提唱しました。なぜ20本以上かというと、20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物をおいしく食べることができるからです。

 

永久歯は6歳頃から生え始め、15歳頃までにすべて揃います。親知らずを含めると32本です。20本以上の歯を残して、楽しく食事をできる生活を目指しましょう。

介護リスクが高まる「オーラルフレイル」

オーラルフレイルとは、「口腔機能の低下」を意味します。具体的には、噛む力や飲み込む力の低下、唾液の分泌量の減少などがあげられます。オーラルフレイルは、全身の健康状態の悪化や、介護が必要になるリスクを高めるとされています。

 

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高齢者の口の特徴

高齢者になると、加齢によってさまざまな口の変化が現れます。

 

唾液分泌量の減少

加齢とともに、唾液の分泌量は減少します。唾液には、食べ物を飲み込みやすくしたり、むし歯や歯周病を予防する役割があるため、唾液量の減少は口腔内のトラブルにつながります。

味覚や嗅覚の変化

味覚や嗅覚も、加齢とともに鈍くなります。味蕾(みらい)や、におい分子を感知する嗅細胞が減少し、味や香りを感知する能力が低下するためです。

歯や歯茎のトラブル

歯は加齢とともにもろくすり減りやすく、歯茎は縮んで弾力がなくなります。

これにより歯と歯との間に食べかすが詰まり、むし歯の原因となります。

また、入れ歯をしている場合も、お手入れが不十分の場合はむし歯や歯周病になりやすくなります。

口腔機能の低下

加齢とともに、舌や口周りの筋肉の力が弱くなり、口腔機能が低下します。これにより、食べ物をうまく噛んだり飲み込んだりすることが難しくなるため、食べ物が気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)※1のリスクが高まります。

 

※1:誤嚥(ごえん)…誤って喉頭と気管に入ってしまう状態

高齢者の口のトラブル

高齢者になると、加齢によってさまざまな口の変化が現れます。唾液の分泌量の減少や味覚・嗅覚の変化、歯や歯茎のトラブルなど、口腔内の健康を維持することが難しくなります。

 

以下では、高齢者の口の代表的なトラブルについて、より詳細に説明します。

 

歯周病

歯周病は、歯垢の中の細菌によって歯周組織が破壊される慢性的な炎症性疾患です。

歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けて歯が抜け落ちてしまいます。

 

高齢者になると、歯周病の罹患率と重症度が高くなります。

これは、加齢による免疫力の低下や口腔ケアの不足などが原因と考えられています。

 

歯周病は、糖尿病や心疾患などの全身疾患との関連性が指摘されています。歯周病菌が血液を通じて全身に運ばれることで、これらの疾患の発症リスクを高めると考えられています。

むし歯

むし歯は、口の中にいる細菌が食べ物の糖分をエサにして増殖し、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまう病気です。

 

エナメル質は一度溶け出すと元には戻らないため、放置すると象牙質や歯の神経にまで進行し、強い痛みを感じたり、歯を失ったりする可能性があります。

 

高齢者は、歯周病によって歯茎が下がり、歯根が露出するため、むし歯になりやすくなります。また、唾液の分泌量が減少することで、むし歯菌が増殖しやすくなります。

ドライマウス

ドライマウスは、唾液の分泌量が減少して口腔内が乾燥する病気です。唾液には、食べ物を飲み込みやすくしたり、むし歯や歯周病を予防したりする役割があります。

 

加齢とともに、唾液腺が委縮して唾液の分泌量は減少します。また、舌や口周りの筋肉の力が弱くなり、噛む機能が低下することも唾液の分泌量が減少する原因となります。

 

ドライマウスは、口臭や味覚障害、むし歯や歯周病のリスク増加などのさまざまな影響を及ぼします。

口臭

口臭は、口腔内の細菌によって発生する悪臭です。

口臭は、むし歯や歯周病、ドライマウスなどの口腔内のトラブルが原因で起こることが多いです。高齢者は、口腔内のトラブルが多いため、口臭に悩む人も少なくありません。

 

その他、舌苔(ぜったい)ができたり、入れ歯が合っていないことが原因で口内炎が起こることもあります。

 

※2:舌苔(ぜったい)…舌の上に付着する白い苔状のもの

高齢者の口のトラブルが原因の病気

高齢者の口のトラブルは、認知症、誤嚥性肺炎、脳梗塞・心筋梗塞、糖尿病などの全身疾患のリスクを高めるとされています。以下では、これらの疾患について、より詳細に説明します。

認知症

近年、研究によって歯周病と認知症の関係性がわかっています。

歯周病になった場合、認知症でもっとも多い「アルツハイマー型認知症」の原因物質であるアミロイドβが10倍近く増えるという研究結果が発表されています。

 

また、愛知県に住む65歳以上の高齢者4,425人を対象にした4年間の追跡調査では、歯がほとんどない人は、認知症になるリスクが最大1.9倍高まることがわかっています。

引用:8020現在歯数と健康寿命 - 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物が、口の中の細菌と共に気管に入り込むことが原因の肺炎です。

肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者で、そのうち7割以上が誤嚥性肺炎です。

(参考:高齢化に伴い増加する疾患への対応について|厚生労働省

 

口腔機能が低下すると、食べ物をうまく飲み込めなくなり、誤嚥のリスクが高まります。誤嚥性肺炎は、高齢者の死因の上位にランクされており、非常に注意が必要です。

(2017年より、肺炎から誤嚥性肺炎が別の疾患として扱われるようになりました)

引用:令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

 

引用:令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

脳梗塞・心筋梗塞

歯周病菌は血管に入り込み、血栓を作ることで動脈硬化を進行させます。このことが原因で脳梗塞や心筋梗塞を発症します。歯周病の人は、脳梗塞リスクが2.8倍、心筋梗塞リスクは2倍になるといわれています。

糖尿病

歯周病は、糖尿病の発症リスクを高め、糖尿病の悪化にも影響を与えるとされています。

歯周病による炎症は、インスリン抵抗性を増加させ、血糖値のコントロールを悪化させます。このことにより、糖尿病の発症リスクを高めると考えられています。

歯周病は「糖尿病の6番目の合併症」であるといわれており、糖尿病の人は歯周病の発症率が2.6倍高いという報告があります。

歯がないことによるデメリット

歯がないことによるデメリットは、健康面だけでなく、社会面や精神面にも多岐にわたります。

誤嚥リスクの増加

歯がないと、食べ物をうまく噛み砕くことができなくなります。

そのため、飲み込む際に気管に入り込み、誤嚥のリスクが高まります。先述したように、誤嚥は肺感染症である誤嚥性肺炎の原因となり、高齢者にとって死因の一つにもなります。

転倒リスクの増加

厚労省の研究で、65歳以上の健常者1763名を対象にした3年間の追跡調査では、歯が19本以下で入れ歯をしていない人は、転倒のリスクが2.5倍高まることがわかっています。

 

転倒は骨折や打撲などの怪我のリスクを高め、介護が必要になったり、寝たきりになる原因にもなります。

引用:歯を失って義歯を使わなければ 転倒のリスクが 2.5 倍に

社会的孤立

歯がなくなることで発音がしづらくなったり、会話に自信がなくなると、社会的な活動に参加しにくくなる可能性があります。人と交流する機会が減ると、孤独感や社会的な孤立につながり、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。

北海道の高齢者は歯が少ない!?

2011年の歯科保健実態調査では、北海道の高齢者は全国に比べて残っている歯が少ないとの調査結果が出ています。

 

<高齢者1人平均の歯の本数>

年代

北海道

全国

75~79歳

12.8本

15.6本

80~84歳

7.4本

12.2本

85歳~

6.6本

8.4本

80歳で20本の

歯を持つ人の割合

24.4%

38.3%

出典:お口の健康から、身体の健康へ | 北海道後期高齢者医療広域連合より作図

 

次項であげる予防法を実践して、1本でも多くの歯を残していきましょう。

高齢者の口のトラブルを防ぐ方法

高齢者の口のトラブルを防ぐためには、以下4つの方法が有効です。

口腔ケア

口腔ケアは、口のトラブルを防ぐための最も基本的な方法です。以下のポイントを意識して、毎日丁寧に行いましょう。

1. 歯磨き

毎食後、歯ブラシとフッ素入り歯磨き粉を使って、歯の表面や歯垢が溜まりやすい歯間、奥歯などを丁寧に磨きましょう。

2. 歯間ブラシ

歯ブラシだけでは磨きにくい歯間は、歯間ブラシを使って清掃しましょう。

3. 入れ歯

入れ歯を使用している場合は、入れ歯専用のブラシを使って洗浄し、水気をしっかり拭き取りましょう。

4. 舌苔(ぜったい)

舌苔は、細菌の住処となるため、舌ブラシを使って定期的に除去しましょう。

食事はよく噛む

よく噛むことは、消化吸収を良くし、脳への刺激にもなるため、健康寿命を延ばすために重要です。一口30回以上を目安に、ゆっくりよく噛んで食事をしましょう。

 

加齢とともに、歯は欠けやすくなります。硬すぎる食材は避け、誤嚥を防ぐために食材は飲み込みやすい大きさにカットすることも意識しましょう。

定期的な歯科検診

毎日の口腔ケアはもちろんですが、1年に1~2回の歯科検診も大切です。高齢者の歯科受診率は、75歳以上になると減少傾向にあります。

 

75歳以上で「後期高齢者医療被保険者証」をお持ちの方は、1年に1回400円で歯科検診を受けることができます。

(参考:さっぽろ市歯周病検診・札幌市後期高齢者歯科健診

 

この機会に歯科検診を受けましょう。

口腔機能訓練

舌や口周りの筋肉を鍛える体操を行うことで、口腔機能の維持・向上に役立ちます。

下記の5つの体操を参考にしてみましょう。

 

1.お口・舌の動きをスムーズにする体操

2.飲み込むパワー(嚥下機能)をつける体操

3.噛むパワー(租借機能)をつける体操

4.活舌をよくする体操

5.舌のパワーをつける体操


↓ 詳細はこちら!

参考:口腔体操|日本歯科医師会

 

まとめ

高齢者の口の健康は、全身の健康・社会生活・精神面など、さまざまな面に影響を与えます。口のトラブルを防ぎ、健康寿命を延ばすためには、日頃から口腔ケアを徹底し、定期的な歯科検診を受けることが大切です。

 

身体だけではなく口の健康も意識することで、これからもおいしく食事をして、家族・友人とたのしく過ごしたいですね。

 

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