【高齢者の詐欺被害】
詐欺の手口5つと本人・家族ができる対策とは?
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高齢者を狙った詐欺が増加し、社会問題となっています。オレオレ詐欺や還付金詐欺といった手口に加え、SNSを利用した新たな詐欺も増加傾向にあります。
「自分は大丈夫」と思っていても、詐欺師の手口は年々巧妙化しており、誰もが被害者になり得る時代です。「親が詐欺に遭わないか心配」といった悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
この記事では、詐欺の手口とその背景、高齢者本人やご家族が実践できる対策をわかりやすく解説します。被害を未然に防ぐためのヒントとして、活用ください。
高齢者を狙う詐欺が増えている背景
高齢者が詐欺のターゲットにされやすい背景には、いくつかの特徴的な要因があります。
認知機能の低下と判断力の衰え
高齢になるにつれ、記憶力や判断力が低下することは自然なことです。詐欺師はそこに目をつけます。
例えば「市役所から還付金がある」という電話に、「そういえばあったかもしれない…」と心当たりを感じてしまい、口座情報を伝えてしまうこともあるのです。
社会的孤立と寂しさ
一人暮らしや頼れる家族が近くにいない高齢者は、孤独感から優しく話しかける詐欺師に心を許してしまう傾向があります。「最近誰とも話していなかった」というタイミングでの連絡は特に要注意です。
情報リテラシーの不足
スマートフォンやインターネットの操作に不慣れな高齢者は、偽サイトやフィッシングメールを見抜くことが難しく、被害に遭いやすい傾向にあります。「このメールは大丈夫?」と感じたら、安易にURLにはアクセスせず、家族や周囲の人に確認をするようにしましょう。
豊富な資産
退職金や貯蓄・投資が多くなる傾向にある高齢者は、詐欺師にとって恰好のターゲットになります。金額が大きくなりがちなため、一度の被害でも深刻な経済的打撃を受けるケースがあります。
よくある詐欺の手口と特徴
高齢者が巻き込まれやすい詐欺には、いくつかの典型的なパターンがあります。ここでは代表的な5つの手口をご紹介し、それぞれの特徴と対策ポイントについても触れていきます。
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)
最も有名で古典的な手口のひとつが「オレオレ詐欺」です。「オレだけど…」という電話から始まり、「事故を起こしてしまった」「会社のお金を使い込んだ」などと理由をつけて、現金を急いで振り込むように仕向けてきます。
この手口の特徴は、“家族の名前をかたる”ことです。「孫の声と似ている気がした」「緊急事態だと混乱して疑う暇がなかった」といった声も多く聞かれます。
詐欺師は「万が一、子どもや孫が本当に困っていたら…」という家族の心情につけ込んできます。
対策としては、「必ず家族間で合言葉を決めておく」「すぐに折り返すと伝えて一旦電話を切り、本人確認をする」などが有効です。
架空料金請求詐欺
突然SMSやメールで「利用料金が未納です」「本日中に連絡がない場合、法的手続きに移ります」といった内容が届くケースです。
多くの場合、実在する業者名を騙っており、一見すると本物の請求のように見えるため注意が必要です。
「こんなメールが来たけど本物?」と不安に感じたときは、絶対に記載された電話番号には連絡せず、公式サイトなど信頼できる情報源から確認しましょう。
還付金詐欺
「医療費の還付があります」「税金の払い戻し手続きが必要です」と役所と名乗って連絡してくる手口です。その後、ATMを操作させて口座情報を入力させ、お金を騙し取ります。
実際の行政機関がATMの操作を促すことはありません。「ATMで還付処理」と言われたら、それは詐欺だと疑ってください。
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺
最近増えているのが、SNSやマッチングアプリを通じて知り合い、「投資で一緒に儲けよう」「恋人として支えてほしい」といった甘い言葉でお金をだまし取る手口です。
最初は少額の投資を勧め、うまくいっているように見せかけながら、徐々に大金を要求してきます。「オンラインで出会った人に、お金の話をされたら要注意」と覚えておきましょう。
訪問販売・点検商法などの悪質商法
「無料で点検します」と言って家に上がり込み、不要なリフォーム工事や高額な健康器具を勧めるケースも後を絶ちません。訪問を受けたら、「家族に相談します」「書面を後で確認します」と一旦保留にする姿勢が大切です。
強引な営業や不安をあおるような言い回しに惑わされないようにしましょう。
このように、詐欺の手口は実に多様化しており、どれも巧妙に高齢者の心理を突いてきます。
高齢者本人ができる詐欺対策
詐欺の被害を防ぐには、日頃からの心がけと環境づくりが大切です。ここでは、高齢者ご本人が日常生活の中で実践できる具体的な対策をご紹介します。
電話の使い方を工夫する
詐欺の多くは電話を通じて仕掛けられます。そこで「非通知拒否」「番号表示」などのサービスを活用することで、リスクを大きく減らせます。また、「常に留守番電話に設定しておく」というのも効果的です。
例えば、見知らぬ番号からの着信があった際、「本当に必要な相手ならメッセージを残すだろう」と割り切ることで、最初の段階で詐欺を防ぐことができるでしょう。
防犯機能付き電話機の活用
最近では、詐欺防止機能が搭載された電話機も登場しています。着信時に自動で注意喚起メッセージを流したり、通話内容を録音したりする機能があるため、詐欺師も警戒して通話を続けづらくなります。
こうした機器は自治体が補助金を出してくれるケースもあるため、「費用が心配…」という方も一度調べてみると良いでしょう。
普段の生活習慣の見直し
詐欺は、「冷静に判断できるかどうか」がカギになります。そのため、「知らない番号には出ない」「お金の話が出たら必ず誰かに相談する」という習慣を身につけておくことが大切です。
また、「私は大丈夫」と過信せず、「一度疑ってみる」視点を持つことが何よりの対策になります。
家族ができる詐欺対策サポート
高齢者が詐欺の被害に遭わないようにするには、本人の努力だけでは限界があります。そこで重要になるのが、家族による支援です。ここでは、家族ができる実践的なサポート方法をご紹介します。
会話と信頼関係づくり
日常的な会話の中で「こんな電話があったんだけど」と気軽に相談できる関係性を築くことが大切です。「うちの親はしっかりしているから大丈夫」と思っていても、突然の詐欺電話に動揺してしまうケースは珍しくありません。
例えば、週に1回は電話や訪問で「最近変な連絡なかった?」と声をかけるだけでも、被害の予防につながります。
成年後見制度や家族信託の活用
高齢者が判断能力を失ってしまった場合、家族が代わりに財産管理や契約を行う仕組みとして、「成年後見制度」や「家族信託」があります。これらを利用することで、大切な資産を守ることが可能です。
「親の判断力が不安になってきたけど、どうしたらいい?」という方は、地域包括支援センターや弁護士に相談してみるとよいでしょう。
高齢者のスマホやネット利用の見守り
スマートフォンを使う高齢者も増えている一方で、フィッシング詐欺や偽サイトに騙される危険性も高まっています。家族が定期的にスマホの設定やアプリの確認をすることで、リスクを下げることができます。
「パスワード管理が不安」「怪しいアプリを入れていないか心配」という場合は、一緒に確認する時間を設けてあげるのがおすすめです。
このように、家族が意識的に関わることで、高齢者が詐欺に遭うリスクを大幅に減らすことができます。次は、万が一被害に遭ってしまった場合の相談先や対応方法をご紹介します。
被害に遭ったかもしれないときの対応と相談先
どれだけ気をつけていても、誰でも詐欺に遭ってしまう可能性があります。ここでは、被害に気づいたときにすべきことと、相談できる機関をご紹介します。
まずは家族や信頼できる人に相談
一人で悩まず、まずは家族や信頼できる人に相談しましょう。「恥ずかしい」「怒られるかも」と思わず、被害を最小限に抑えることを最優先に考えましょう。
消費者ホットライン・消費生活センター
消費者ホットライン「188(いやや)」に電話をかけることで、全国どこからかけても最寄りの消費生活センターにつながります。専門の相談員が、被害状況に応じた対応策を教えてくれます。
警察への相談
詐欺だと気づいたら、速やかに警察に通報しましょう。警察相談専用電話「#9110」にかけることで、各地の相談窓口に案内されます。必要に応じて被害届の提出や捜査が行われることもあります。
契約の取り消しが可能なケースも
詐欺や悪質商法によって契約してしまった場合、「クーリングオフ制度」や「消費者契約法」によって契約を取り消せるケースがあります。証拠となる書類や会話の記録などは、なるべく保管しておきましょう。
以上のように、被害に遭ったかもしれないと思ったらすぐに行動することが何よりも大切です。
まとめ
高齢者を狙った詐欺は、手口が巧妙で被害も深刻になりやすいケースが多いです。しかし、正しい知識と少しの注意を持つだけで、リスクは大きく下げることができます。
今回ご紹介した内容をもう一度整理しましょう。
「まだ何も対策していなかったかも…」という方でも、今日からできることはたくさんあります。
詐欺は誰にでも起こりうる問題ですが、備えておくことで防げる被害も確実に増やせます。大切な家族と自分自身を守るために、今できることから一歩ずつ始めていきましょう。
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